唐草模様

何となくダラダラと書いてます

イントレランス観劇

今日は風間くん主演の『イントレランスの祭』を見てきましたので感想を残します。


ネタバレ満載のため、見たくない方はスルーをお薦めします。







イントレランス(intolerance)

*耐えられないこと、不寛容






〈設定〉

宇宙人が地球に移民、各国で移民受入数を割当てられ、日本にも宇宙人の移民がいる。

宇宙人は一回だけ擬人化(コピー)でき、人間の見た目で生きている。

移民から六年後の世界。


風間くんは売れない芸術家。深夜の牛丼屋でバイトしてる。地球人。

一方の玲ちゃんは、お弁当屋でアルバイト。宇宙人で内緒にしてる。

二人は恋人で同棲中。





今回、イントレランス(=不寛容)が差別とどう絡むのか、とても楽しみでした。自分では、区別はイントレランスにはならないと思っているので、題材は大体予想通り。


差別と区別がとても多く散りばめられていて、気を抜くとスルーしそうになるのが既に自分も知らず知らずの内にしている証拠。

  • 風間くんの職業
  • 玲ちゃんの出生
  • 容姿
  • 王位継承の順位
  • 中身は女、男に変身
  • 国籍
  • 性癖


オープニングで旗を振っているんだけど、ここには何が隠されているのかしら。きっと何かが隠されているハズだけれども、私には分からず。。。


玲ちゃんは他の宇宙人と違い二度変身している。1度目はおばちゃん、2度目が玲ちゃん。

そして、安心するとおばちゃんに戻るのだけど、地球人は受入れられずに拒否する反応。

この随所に出てくる容姿差別は、人間の根底にあるコンプレックスを刺激し、「見た目」が大事なのは不変だなと思ってしまった。

歴史上、容姿により政治の采配が変わり、栄枯盛衰に影響しているのは周知の事実。

ここを正直に全面に出して来る所が、まず最大のポイント。



次に、

地球防衛団が宇宙人を排除しようとし、宇宙人は和平or攻防の二者に分かれるのも面白い。

攻防の頭は王位継承者だが玲ちゃん(9位)よりも下位(73位)。だから王位は継げない。でも継ぎたい野望あり。しかも、ジェンダレス(外見男、中身女)


人種!?による差別って、全世界で戦禍の火種になっていて、その情報は日常的になっている。本当に他人事の様に毎日見てるけど、いつ自分の先行き問題になるか分からない。そんな始まりを感じさせる攻防戦の描写。

それを舞台では面白ろ明るく描いているけど、内容は実はヘビー。


地球人と宇宙人のやり取りをTV中継しようとするプロデューサーも実は国籍と性差別あり。国籍は日本人じゃないし、ゲイ。この人種差別を注目させることで国籍差別を薄めようとしている腹黒さと悲哀さを軽めに上手く表現されてます。


あと、芸能界の闇を垣間見る権力の持ち出し方。

風間くんに地球防衛団に都合良く話してくれたら、本出版の話を持ちかける防衛団リーダー。

権力バックアップをちらつかせ、売れない→人気にする構図は芸能界その物。

結局、この話はビデオ録画されていて、窮地の玲ちゃんを救う為、風間くんが暴露し防衛団を失脚させるのだけど、ここに色々な大人の事情に屈しない鴻上イズムを感じる。


途中、「宇宙人は殺せ」の民衆大合唱は、マイノリティで生きて行くことの難しさと集団心理の怖さが表現されていて、印象的でした。


それと、エッチの連呼や下ネタ満載のため、自担でなくて良かったと心から思ったわ。


全体的な感想として、

誰もが生まれた時から持ち合わせる差別、区別を浮き彫りにして、それについてどう自分が捉えるか、相手の区別標識(人種等)をどう捉えるかで区別が差別に変わるイントレランスが生じるのかなと思った作品でした。

そして、自分の思いとは勝手な所でイントレランスは日常的におこり、それに揉まれた世界であること。

それに流されるか抗うかを知らない内に取捨選択していると言うことかなって感じた作品でした。




私が書くと重めだけど、この内容を明るくポップに軽やかに笑いも交え演出されてるのが、さすが鴻上さんの作品です。